「おぼこさん」とは
甲州弁で蚕(かいこ)を親しみ込めて呼ぶ言い方
蚕の幼虫。白い色をして、長さは10cmくらい。成虫になるときにさなぎになる繭を作る。これが生糸の元となる。さなぎとなった蚕は白い蝶(蛾のようなもの)になる。子どものことを「ぼこ」と表現し、山梨県における養蚕が重要な産業であったため、蚕に対しては丁寧にも「お」と「さん」を付けて、ぼこよりも大事として「おぼこさん」と表現した。(辞書ウィキペずら)
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2026年2月 おぼこさん誕生 ❶ギャラリーを探していた




北杜市長坂町に新スペースを整備中です。
始まりはコロナ禍中に通いつめた
シュマン・ド・ボヌールで描いた全て北杜市内の絵100枚の存在で
自分でも素晴らしい出来!何処かで見てもらいたいなぁ
でも何処で発表できるかな
冬の間北杜に行けず場所も見つからずどうしようと時間ばかりが過ぎて行き焦ります。すると今年から活動しているゲートウェイファームで展示できるよと迎えられ、でも紙作品は屋外は無理 となり・・
そこで牧場から6km車で10分、所有する古民家を紹介されて
2月に初訪問で初内覧した
南アルプスへ開かれ水田広がる里山に佇む元養蚕の家との出会いでした。
既存のギャラリーに頼らずに自分の絵を飾りたい所は自分で作る
腰痛の回復も途中ながらも一目惚れ、アートスペースを開きたい性分がまた湧き上がり
5月は甲府から整備に通い詰め、そうじそうじそうじの一カ月
まずは古民家内外の環境整備に努めています。
個展《伏流水100景》7/3-26
Hundreds waters run deep
坂本泉
DM制作も済ませて、室内整備と展示へと導かれ
一から場をつくる苦労と喜び、妄想に追いつかない体力
回復しない疲れと暑さとの戦い
まずは場所を貸してくれるゲートウェイファームに感謝
そして手を貸してくれる友だちなんと恵まれている感謝しかない
アートを介してここ山梨八ヶ岳南麓の魅力を伝え牧場の存在を広めたい
農業、動物、空き家
自分がドキドキワクワクする事を真っ直ぐにやるしかない
この古民家に出会っちゃったから
昔日ここで育った蚕(おぼこさん)の力も借りてやってみよう
そして個展+場所開きの経過をここに記録します。
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2026年5月 おぼこさん誕生 ❷古民家との出会い




スペース名の由来は養蚕を営んだ家から来ています。
日本全国で養蚕はかつて基幹産業でしたが、近代化に伴い廃れ今は化学繊維にその地位を取って代わられたー大筋では養蚕と絹織物の衰退は知っていてもそれは歴史話としてのみ、実体験はありません。
わたしの母は養蚕経験ありですが、短期間で繭をあげるために桑の供給が一日に5回ととにかく大変な労働であったと
思い出すのも快くないようすでしたからそれ以上質問を躊躇した記憶あり
しかし今回の展開で養蚕について何も知らない自分がいて
室内に落ちていた古い繭玉を集め
この家で繰り広げられた繭作り
家族の労働、住まい方を想う
世界中で人に飼われて絹という稀有な繊維を吐く蚕
健気さ悲しさこの愛すべき幼虫とは、、
そして、山梨は市川三郷町で山繭作りする
噂で聞いた遠い方々の存在が
滞在中のアーティストMrizさんの訪問アポを取ったの一言で現実となり
訪問に同行させてもらう幸運にあずかる
山繭、家繭ともに育て絹織物にするまでを手仕事で行う「yamamayu」
出会い、偶然、幸運が重なり『ゲートウェイおぼこさん』が生まれます。
そして、山梨の失われた歴史や生活ををなぞり現代の私たちを考える
📍6/7ムリズ•シダによるパフォーマンスがプレオープンを飾る大型インスタレーション&パフォーマンス
『Makeing a space for what Remains』残されたものの行き場をつくる
家全体が大きな織り機と化す一日
二か月間の山梨リサーチ集大成
おぼこさんへの意味付け、スペースへの花向けとして
記念すべき一日となります。
6/21(日)読書カフェ@甲府市エアリーで発表と上映を行います。
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2026年6月 おぼこさん誕生 ❸リアルおぼこさん来たる




なんと、リアルおぼこさんの母になりました‼️
元養蚕の立派な家を預かるも
ほとんど小学生程度の知識と経験しかないわたしはどうしたものか?
図書館やネットでその生態を調べているうちになんと本物の蚕がおぼこさんにやってきた
もう繭を作った子と、折しも糸を吐いて繭つくり中の子が共存するという稀有な蔟(まぶし:糸を吐く時に入る)状態できのう届きました。リース状の蔟もおしゃれ
5/26市川三郷町yamamayu訪問時、まだまだお痩せなおぼこさんでした。2週間たち桑を喰み終えた彼らはもう繭作り段階に成長していたのです。
昨夜、まだもぞもぞしていた最後の子も今朝は健気に繭作りに入ったようで安心しました。布団の横に蔟を置いて寝たので、もしかしてわたしの体に登ってきたらどうしようとちょっと怖かった。
小学生の自由研究始まる、いきなり変わったペットと同居
もう配桑はないけど成長各段階で正しい対応ができますように
最高のおぼこさんオープン記念をくださったのは市川三郷町の「やままゆ」
天蚕と家繭を育てつつ
絹織物までの過程を負う生きた研究所のリサさんからー
おぼこさんでは
5-6月滞在作家ムリズによるプレオープンイベント
『House of Loom』
家ごと織り機に生まれ変わる大型インスタレーション&パフォーマンスが
壮太な演出にて終了し
7月にはいよいよオープン展が控えます。
『伏流水100景』Hundreds water run deep 坂本 泉
今夏へ向けて潮が満ちてきているのを感じざるを得ません。
*蚕の数え方は一頭、二頭です
家畜なので、小さい子でも頭と数えるそうです。
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2026年6月 おぼこさん誕生 ❹織り機の家




『House of Loom』織り機の家 Mriz Sidah/Singapore
家ごと織り機に生まれ変わる大型インスタレーション&パフォーマンス
「Making a place for what remaims」失われたものの居場所をつくる
エアリー着の翌日に古民家と遭遇した作家は、この場所と自身の研究について想いを巡らす日々のあとでこの実践に結び付けました。
『Gatewayおぼこさん』プレオープン企画としての位置づけです。
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2026年6月 おぼこさん誕生 ➎ 牧場ファンを増やしたい
NPO法人 GATEWAY みらい https://www.gwmirai.com/
農業法人 GATEWAYみらい https://gwmirai.net/




おぼこさんの大家さんゲートウェイのこと
八ヶ岳と甲府で農業と牧場の場を活動の基本に据え、未来を担う世代へのかけはしとして自然の中で教育活動を展開する「ゲートウェイみらい」との出会いがありました。広大な牧場を自力で開拓し、未来の若者たちに活動の場を提供しています。出会いは一年前、甲府ビル店頭で八ヶ岳野菜の販売と烏骨鶏飼育をしていたことから。エアリー徒歩一分のところでこれらを扱う団体って一体何となりまして。
長年レジデンスを運営する中で山梨の魅力とは自然とその中での活動だと確信があり、今年正月のトークイベント「AIと地方の美」では農業について熱く語った自分がいました。AIを使うにしても安定した電力供給が欠かせないし、人間が最低限幸福な一生を送るには食料供給が基本です。
クリエイティブとは生み出すこと。アートに限らずものを生産することの大切さ、生活を支える基盤を美しく整えることを喜びとして生活を楽しむことに興味があります。そんなささやかで再生可能で豊かな生活のヒントが牧場には詰まっています。 緩やかなエコシステムを念頭に置いた活動をアートを介してお手伝いができたらと閃くのに時間はかかりませんでした。
そして今年になりさっそく活動に参加、「ジャガイモ種植え」「ほうとう作り」「ヤギ散歩」「牧場絵画」「羊毛刈り」「羊毛タペストリー作り」の実践となりました。広く声掛けをおこない、広く牧場ファンを増やしていきたいです。
このような流れの中で、牧場付随の室内施設として、かつて養蚕を営んだ古民家を展示実験スペースとして運営することになったのが「GATEWAYおぼこさん」*です。由緒ある場所がまた一つ芸術活動の場として生まれることは喜びに耐えません。内部には牧場作品の展示を目的とした一部屋を確保、牧場で生まれた作品を常設していきます。また、今回のオープニングに続いてスペースを市民に開いた場所として運営します。
*牧場からおぼこさんへは南へ6kmほど離れています。
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2026年6月 おぼこさん誕生 ❻アートに架ける橋
おぼこさんの駐車場に車を停めて、展示スペースである二階母屋へと続く小道を歩きエントランスへと向かいます。どんな展示が待っているかと胸の高鳴りを感じながら歩を進める大切な導入部分。
ここは元養蚕の家、蚕に食べさせる大量の桑葉を畑から刈り入れ、一時ストックしておく板敷の桑室というスペースがあるんです。そこから床続きの母屋で待っている蚕に順次桑葉を与えていました。

ところが現在、桑室への入り口の橋は長年の風雨により朽ちてしまい渡ることができません。橋が落ちてしまい、外と中の行き来が断たれた状態です。

幸いなことに、両側の瀟洒な鉄製手摺りは部分頑丈でまだまだ使えそう。これは生かして改修しましょう!朽ちた木部を取り去ると断崖絶壁が現れて

さっそく小屋作りや家屋内外の設えに詳しい造形作家に相談すると、すぐに橋の改修が開始されることに

谷底ならぬ一階の地上レベルから見上げるとこんな感じ。斜交いも打ってさらに強度を高める、安全第一です。少し傾斜のついた木部エントランスのステップは雰囲気ありますね、誘われる造作です。

トントン拍子に運ぶ作業、防腐剤を塗り横板を敷き詰めていくと現れる頑丈な橋「アートに架ける橋」が渡されます。

左手前にはイチジクと梅の木がダイナミックな木陰を作り来訪者を迎えます。

古民家に新しい命を吹き込む「アートに架ける橋」が完成しました。このアートスペースは、古さと新しさ、街と田舎、ホワイトキューブと蚕室、作為と無作為などの対比する思考を促す仕掛けを内包しています。一見してかけ離れた価値観をつなぐ装置の存在により、私たちは現代社会を透かしてみることができるでしょう。
周囲の木々、水田、草むら、そして遠くの山々に溶け込む柔和な佇まいと、アートスペース入り口として凛とした姿勢を感じる橋。朽ちて落ちた橋が生まれ変わる再生プロセスを間近で見てしまったら、本気でやらなきゃいけないとじわじわ感情が高まってきたのでした。
ここで橋に関して気になっていた二つの単語の意味を調べてみると、
Bridge 「対等な二つの世界や人をつなぐ架け橋、または仲介する」
Gateway 「新しい世界や未知の分野へ進むための大きな入り口(関門)」
二つのものを対等につなぐ役割(Brigde) か、それとも未来や新しい場所へ進むためのきっかけ(Gateway)かにより使い分けるようです。おぼこさんの場合は両方の意味を兼ね備えて「アートに架ける橋」と言えます。加えて、橋と言えばこれでしょという名曲「明日にかける橋」Simon&Garfunkel へのオマージュでもあります。
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2026年7月 おぼこさん誕生 ❼山梨と養蚕

今回おぼこさん開設を機にはじめて養蚕が自分事になりました。山梨育ちと言えども物心ついてから養蚕の歴史は周囲に無く、失われた産業としてぼんやり捉えていた。
失われた文化、ディアスポラとしての養蚕と絹織物ー
思い返せば子供時代に家族で訪れた諏訪湖畔にあるスイミングプール大の立って入る温泉、つま先たちでやっと顔が出るくらい深くて、底は玉砂利が敷き詰められて周囲は暗く子供心に怖かった記憶が。
大学時代には大竹しのぶ熱演の映画『あゝ野麦峠』を観た。繭を熱湯で煮て絹糸を手繰る仕事は大汗かいての長時間労働、過酷な仕事環境に従事させられる少女たちの姿は哀しく心に残った。その女工たちが立ち姿で入浴したのがカタクラ千人風呂で今も営業しているとのこと。
そして近年のシルク関係は秩父の銘仙きものです。叔母の嫁ぎ先に100年伝わる特別な絹織物、銘仙で仕立てたアンティーク着物を譲り受けました。細い絹糸と鮮やかな染色が特徴です。これまでの着物の地味なイメージがガラッと変わり、しなやかな着心地とキッチュな色柄がお気に入りとなった。
ー網野本を読んで
国内の基幹産業だった養蚕
女性の労働に負うところ多し
あくまで献上品としての絹、民間人が纏うことはない
安価な輸入品、化学繊維の普及、着物文化の縮小 などが分かった
あまりに急に養蚕の歴史が衰えてしまい文化が途絶えたのは残念ではあるが、今回おぼこさん開設に伴い、養蚕を自分事に引き寄せて考え経験できたことはよかった。個展『伏流水百景』で伏せられていた地下水のラインに気づき、歴史に埋没していた絹糸のラインをも取り込んで俯瞰して結びつけられたことは大きな収穫だった。
2026年7月 おぼこさん誕生 ❽山羊さん出張してください!
おぼこさんは母屋二階に位置して、駐車場から直に橋を渡り入ってもらう動線です。ギャラリースペースとして客人を招くには、できるだけ快適でストレスの少ない駐車場を用意したいものです。


牧場スタッフによる初草刈り

涼しい朝夕に手で抜いても抜いても〜

牧場代表による第2回草刈り
あっという間に刈られる草たち
やっぱり機械の力にはかなわないな・・

南アルプスを正面に見て駐車してね

草刈り時には移動可能です
快適駐車場作戦としては
ー敷地を平らにならす
ー草刈りを絶えず心がけて
ー奥からななめ駐車を推奨(4台可能)

初期の5台案(北向き駐車)から4台案(南向き駐車)に変更あり
この辺りでは週末朝から刈り払い機のモーター音が響き渡り、里山の通奏低音の趣があります。これまでは牧場スタッフに依頼して出動いてもらうも、やはり一台おぼこさんでも刈り払い機を備えるべきか悩むところです。
理想はゲートウェイ牧場からの山羊さん出張です。これが叶えば、電気ガスを使わずに草刈りができて再生可能サイクルが実現します。それにはもっと牧場の山羊さんと親しくなり彼らの気持ちがわかるようになりたい・・実現までの道のりです。
