惑星/Planet

詩月旅人 × 大方 岳 二人展 「惑星 」絵と言葉のコラボレーションまたは格闘

会場 AIRY 山梨県 甲府市 丸の内 2 丁目 37 2
期間 2021 年 9 月 19 日(日)- 26 日(日)
開廊時間 11 時 -18 時 入場無料
連絡先 gakuokata @gmail.com

“Planet”
Gaku Okata x Tabihito Shiduki
Venue AIRY 2-37-2 Marunouchi, Kofu city
Duration 2021, Sep 19 th- 26 th
Time 11am- 6pm Free Entrance
Contact gakuokata@gmail.com

作家プロフィール

詩月 旅人/Shiduki Tabihito  詩人、小説家
1997年長野県伊那市生まれ 幼少期をタイで過ごす 帰国後は山梨県で育つ 信州大学で日本文学を学び、卒業後は沖縄県宮古島にて農業、測量会社の不発弾探査を経て帰郷 今回の二人展では宮古島での記憶が大きく反映された詩などを展示する。

大方 岳/ Okata Gaku 画家
1997年大阪生まれ 北杜市育ち 2018年から一年間西豪州で美術を学ぶ
2020年2月初個展EXHALEを開催 同年iCLA卒業
2021年 5月 第二回個展LONELy-LOVELy 開催
作品のテーマは自認されない感情、性、孤独、不安、パニック障害

《日常の中にある揺らぎ》

今回の展示は絵と言葉という二つの表現の組み合わせを試みた軌跡です。二人展をするにあたって展示の方向性を決める話し合いをしました。パーソナルな話をしながら、「日常の中にある揺らぎ」というものを互いに意識していることが見えてきました。それを包括する言葉を探している時に二人がしっくりきたのが「惑星」でした。絵と言葉という互いのスタンスから、詩月の言葉からインスピレーションを得て大方が絵を描き、大方の絵からインスピレーションを得て詩月が文を綴ります。

詩月旅人ステートメント

 誰も知らないところで物語は絶えず生まれては紡がれています。夜、高台から眺める夜景を想像してみてください。暗闇のなかに色々な灯が星のように輝いています。私にはその光の一つひとつが、物語をもつ惑星に思えて仕方ないのです。もう一つ、「惑星」には《さすらう星》という意味があります。この天体は星座の間を漂うように動く様子から惑う星と言われるようになりました。そこには好奇心の赴くままに人の間を漂白する私の情況とも重なるものがありました。私というひとりの人間もまた惑星なのです。

大方岳ステートメント

タイトルを惑星にしようと初めて聞いたときにとてもしっくりきました。惑う星と書かれるこの単語の含蓄するものが私の世界の中での人間というものを表しているように思えたのです。近づいたり離れたりを繰り返し、恒星の周りの軌道をそれぞれの周期で回る。そして宇宙の中で孤独。今回の展示では物語や詩などの文章表現と絵画表現を合わせることを試しています。私はこれまで不安や自認されない感情などの内的なものを表現しようとしてきました。それはとてもあいまいでまとまりがなく、衝動的でした。そういうものをなるべく正直に生々しく表現するというのが目的でもありました。しかし今回は叙述的な表現や詩情を作品に付与しようと試みています。

2人展オープンしました。


先に詩月の詩がありそれに大方が絵を描いたもの
逆に大方の絵に詩月が文を添えたもの共に紹介しています。
個々の世界を開いて互いの発想を交信する個人的であり創造的な作業です。

大方 岳                  詩月旅人
二人は中学校の同級生
その後の進路は異なるもののいつか二人で協働制作をしたいと考えていたようです 。
詩月は長野から沖縄へ移動、宮古島で農業と不発弾探査などを経験してこの夏故郷山梨へ戻った時期にその機会が訪れました。

2人の友人たちが各地から訪れてじっくり鑑賞してくれました。


【惑星の欠片】
詩月旅人 著
大方 岳 表紙絵
B6版 全171頁 限定50部発行
1500円
8月をエアリーで創作滞在し甲府で生活しながら執筆の日々
そして上梓した初出版物がこの「惑星の欠片」です。
これまで書き溜めた作品に加えて《甲府讃歌》の章があるのも嬉しいです。
六曜館、喜久の湯、結、能成寺など
そしてここエアリーは《バルコニイのある画廊》と紹介されています。

ギターとスタンダードジャズのひととき
息もぴったりな二人♪オハコは
On the Sunny Side of the Street

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寄稿文:杉山智明

「1枚の絵から、どんな「詩」が浮かんでくるか? 1篇の詩から、どんな『絵』が浮かんでくるか?」

甲府のギャラリー「AIRY」で開催中の、詩月旅人さんと大方岳さんの「二人展」を観てきました。詩を書く詩月さんと、絵を描く大方さん。お二人は中学の同級生とのこと。そして、お互いの進路や生活環境が変わって年月が経ち、今回改めて共作の展示が実現したそうです。大方さんの描いた絵に詩月さんが詩を添え、その詩を元に大方さんがまた新たな絵を描いていく。一方、詩月さんが記した詩からインスパイアされる形で大方さんが絵を描き、その絵を元に詩月さんがまた新たな詩を記していく…。お互いの発想を交信し合う連作の表現は、お二人だからこそ成し得たものであり、まさしく「二人展」でした。僕も今回、大方さんの描いた絵を観ながら「自分ならどんな詩が浮かんでくるか」、そして詩月さんが記した詩を読みながら「自分ならどんな絵が浮かんでくるか」…、そんな想像性を膨らませながら鑑賞を楽しむことが出来ました。今、SNSのタイムラインなどでは目の前の情報がかなり速く流れていき、1つ1つの中身をじっくり精査することがなかなか難しくなっている気がします。きっと大事なことや面白いものを、見逃したり誤解したりしている部分も少なくないはずです。詩月さんと大方さんの「二人展」は、目に映る1つ1つのものを出来るだけ深く覗き込み、そこから何か1つでも自分の感じたことを浮かび上がらせ、表現しようとする…、そんな営みの面白さ、大切さを思い出させてくれる展示だと感じました。